ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

日常から切り離されないインターネット

インターネットにどこでもつながることが、世界を広げるよりも、日常をどこにでも持って行くことになるな、と実感した。
先日のテキサス出張、飛行機の機内でもネットがつながった。空港でもつながった。日常やりとりをしているLINEグループでのちょっとしたチャット、パズドラを少しやることもできるし、日常の習慣を崩さないまま移動ができる。

非日常のはずなのに、日常がずーっとくっついてまわる。

大学生のころ、インターネットは遠い、非日常に自分を連れて行ってくれるものだった。それが、今は日常の諸々や身近な人達をどこまでも「持参/同伴」に
してしまったなー、と実感した。

ICIS2015参加

AISの年次会議、ICIS2015に参加。今年はPre-ICISの JPAIS/JASMINと、Post-ICISのSocial Inclusion Research (SIG-SI)Workshopで発表してきた(後者やRound Table)。

JPAISでは「ゆりかごから墓場までのプライバシー」として、特に子どもと死後のプライバシーについてのRQ提示。SIG-SIでは、結婚後の名前についてのStruggleというタイトル。最高裁の判決の翌朝のセッションだったので、なんともタイムリーとなった。


ICIS本会議、今回はセッション90分に発表者4人。1人あたり20分程度で発表とQ&Aなので非常に駆け足に感じた。セッションの部屋のネット環境も悪く、論文はその場では落とせず休み時間に手元に落としておき、図は手元で見ながら発表を聞いた。初日はSocial MediaとPrivacyのセッションが続き、"Collective Privacy"や"Privacy Paradox"といった概念と実証分析の発表がおもしろかった。

初めて参加した頃のICIS2005では、90分で発表2名、Discussantもそれぞれついていて、荘厳な?セッションだったのだが・・ICIS2008ではセッションをまとめるDiscussantになり、そのうち発表だけ(しかも駆け足)になってしまった。数多くの研究にふれられるのは有り難いが、もう少し時間欲しいなーというのも正直なところ。

オープニングレセプションには、カウボーイが来ていた。

Networking Lunchはbuffetでこんな感じ。軽食になったなー。

Coffee Breakでは巨大クッキーが並べられた。M&Mチョコが埋まってるクッキーですよ!!

Social Eventでは、Billy Bobsが貸し切りに。ロデオショーを見ることができたが、牛も慣れているのか、カウボーイを落としたあとは追いかけてみるものの、くるっと一巡して自分で引っ込んでいった。

今回も参加者1300名超えとのこと。次回はIreland Dublin。今度こそ本会議に投稿したい!


これまでのICIS参加のブログはこちら。
ICIS2013 @ミラノ・ボッコーニ大学
ICIS2011@上海
ICIS2008@パリ
ICIS2007@モントリオール

シカゴで乗り継ぎ遅延からの振替でダラス・フォートワースへ

ICIS2015に参加のため、成田〜シカゴ〜フォートワースという旅程を取った。本当は直行便を取りたかったが、復路満席で取れず、ANAで昼に到着しようとするとこの日程に。元々は7時35分シカゴ到着、ダラス行きは9時9分発。MCT(Minimum Connecting Time)は90分の空港なので94分の乗り継ぎ時刻はぎりぎり間に合うはずだった。

が、当日到着したのは7時49分。シカゴは入国審査並ぶよなあ・・(前回来たのは2014年3月)と思っていたら、Kiosk端末がずらっと並んでいる光景。ばらばらに手続きしている。端末の言語は日本語も選択可能。パスポートをスキャンし、税関申告も画面でやり(機内で書いた紙のものは不要だった)、右手の指紋を採って写真撮影をしたらプリントアウト。これを審査官に私、パスポートにスタンプを押してもらう。たしかにかなり時間は節約できた。

Automated Passport Control (APC)
http://www.cbp.gov/travel/us-citizens/automated-passport-control-apc

荷物をピックアップできたのが8時ちょうど。再度Unitedのカウンターで預け直すと、バーコードを読んだ端末にターミナルとゲートが表示される。Terminal1 に行けとの指示。空港内の電車に乗りTerminal1に着いたが・・・8時15分。国内線のセキュリティは凄まじい混雑。抜け道はない。泣きそうになりながら、LINEのグループトークANAの番号を教わったり、何をすればいいかを教わったり。そもそも、どうしよー!というときに何か話ができると落ち着くものだ。ありがたい。

8時半、並びながらANAの州顧客サービスセンターに電話するもtoll freeはつながらない。有料電話もかかったがアナウンスが延々と流れるのみ。空港ではboingoのWi-Fiが30分無料で使える。iPhoneでの30分は使い切ったので、iPadを取り出して接続。Googleで「ORD-DFW」と検索すると、便一覧が出る。これは便利。乗り遅れると次のUAでは15時到着、会議に間に合わない・・

8時52分、やっとセキュリティの個別の列に入り、8時58分、セキュリティ終わり。ゲートに走って走って9時2分、ゲートは閉まっていた。

United の Customer Centerに行けと言われ、そのままダッシュ。乗り継ぎが間に合わなかったと継げた。次の便はDFWに15時に着くと言われたが「私はその時刻にはプレゼンテーションをしなくてはならない。できる限り早い便を」とお願いした。「…荷物と別々になるけどいい?荷物はもう移せないから。たぶんあとの便で行くと思う」と言われ「かまわない」と返事。この時点で9時15分すぎ。諸々電話や発見が終わると、Unitedのスタッフはじっと私を見て言った。「いいですか、もう一度走り続けてもらいます。アメリカン航空のチケットを取りました。12時過ぎに着きます。ただし、9時40分には必ず搭乗してください。絶対遅れちゃだめです。では行って!」

既に9時25分。Terminal 1から Terminal3まで、ひたすら走った。こんなに走ったのは、10月にやってしまった骨折以来だ。
リンク先はUnitedのシカゴ空港地図。Terminal1のB7近くのCustomer Centerから、Terminal3のKまで走り続け。ゲートについたのは9時35分。もう喉がからからだったので、ゲートの前の店でクランベリージュースを買ってゲートに入った。9時38分。私の後ろ2人でドアクローズ。

DFW到着は若干早まり、12時過ぎに到着。掲示板を見て、乗るはずだったUnitedのフライトが着くゲートを調べ、そのターミナルに移動してから外に出た。Baggage Claimに行ってみると、なんと荷物は元々のフライトに上手く乗れていた模様。まだぐるぐる回っている荷物をpick upして終了。12時30分!

産後と似非科学

偽の冷凍母乳通販の問題を巡って、母乳で育てることへのプレッシャーに苦しむ母親の記事を散見するようになった。

冷凍母乳を通販で買う、というのはかつての「もらい乳」や「乳母」とは全然違う。その中身が母乳かどうかも疑わしい。粉ミルクであれば、食品メーカーによる品質が保証されたもの、かつ密閉されたものが手に入るにも関わらず、なぜそんな危険なものをを乳児にあげられるのか?…と考えられるのは、頭が動く状態にあるからこそ。母乳じゃないとダメと追い詰められ、しかも心身まともに動かない疲労困憊状態では、そんな精神状態に陥るのは全然珍しいことではないと思う。ちなみに、私も最初の子のとき、母乳は全然足りなかった。十分追い詰められていたと思う。子どもも上手く飲めず、頻回授乳で私も疲れ切り、自分が熱を出すとますます出なくなった。7週で職場復帰したのがむしろ幸いした。子どもは保育園へ。それでも夜の頻回授乳は続けていて、常に風邪を引いてぼろぼろの状態だった。でも、日中は保育園でミルクを飲んでいるわけで、「あ。ミルクでも健康じゃん」と気づくきっかけになった(実際、早く卒乳した私の子は保育園ほぼ皆勤で元気にしている。)

母乳については、いわゆる「母乳神話」と呼ばれるプレッシャーと、「似非科学」に振り回されることとがあると思う。後者についてちょっと書いておきたい。

妊娠、出産から育児に至るまで、いわゆる似非科学を目にする機会は多い。冷静に考えれば「おかしい?」と思うことが信じられ、流布され、当事者を追い詰めてしまう。どうしても、妊娠や出産は、スピリチュアルなことが介入しやすい。それが心を支えることがあることは否定しない。
産婦人科医の宋美玄先生の本を読んでみると、たとえば、妊娠中おなかに話しかけたり、胎教にいいと音楽を聴かせたりするのは・・・実は、聞こえていないらしい。驚き。母親の大声くらいしか胎児には届かず、通常の声や音楽は聞こえないとか。それでも、それで母親がリラックスしたり、赤ちゃんへの愛着がはぐくまれるならそれでよいのだ。

産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! (専門医ママの本)

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NATROM先生の本でも「科学の範囲外だから悪いと言っているわけではない」と、いわゆる「ファンタジー」について言及されている。ただもちろん、「医療者は科学とファンタジーの区別を明確につけなければならない」のではあるが。

「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

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そして産後。産後すぐの時期は、体は大きなダメージを受けているにもかかわらず、ほとんど寝られないふらふら状態。「交通事故に遭った直後に、プロジェクトがデスマーチ。仕事も休めず寝ることもできない状況」に例えられるだろうか。やっと寝られると思っても、1時間おきにシステムがアラートを飛ばす。自分以外に代替要員もいない。無視していたら、対象は死んでしまう。そんな状況で冷静にまともな判断するというのは、ものすごく難しい。ぼーっとした頭で、スマホを片手に検索して、そこで目にしたものをついつい信じてしまう。同時に、「お母さんなんだから!」というプレッシャーももの凄く強い。情報の選択にも強くバイアスがかかる。

メディアリテラシーを大学で教えている私ですら、そうだった。産後すぐ、母がカレーを作ってくれたのを「カレーを食べると母乳が辛くなっちゃうんだって!」と言った。「ばかね、スパイスがそのまま出てくる訳ないでしょ!」と笑われた。「おモチを食べると詰まるんだって!」と言ったら、90近くになる祖母が「戦後は『お乳が出るように』とお餅を分けてくれたものよ」と言った。あれれ?と思った。睡眠不足でくたくたになった私に、母が生クリームたっぷりのケーキを作ってくれた。乳製品は詰まるらしい、と聞いていたので不安だったが、全然詰まらなかった。むしろ元気になった。

後日、小児科医の森戸やすみ先生 の本を買って、「そりゃそうだ!」と自分で大笑いした。

小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK‐間違った助言や迷信に悩まされないために

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食べたものは、消化管で消化され、デンプン→糖、タンパク質→アミノ酸、脂肪→脂肪酸とグリセロールに分解される。その後は、糖とアミノ酸は肝臓で代謝され、肝静脈から心臓へ。脂肪も再合成されて心臓へ。ここまでは、学校で習ってきたはずのこと。食べたものがそのままの形で血液になるわけじゃないし、母乳は血液から作られるわけで、カレーがそのまま出てくるなんてあり得ないわけだ。本では、北欧の母親とアフリカの母親の母乳の分析結果がほぼ同じだったという話も紹介されていた。人体の恒常性。それに、そもそもお餅がそのまま乳房で詰まるわけないじゃん!

それでも、私の周囲には「うなぎを食べると乳腺炎になる。食べたものは絶対影響する!」「ケーキ食べたらだめだった」「カレー食べたら母乳が不味くなったみたい」「和食じゃないとだめ」という人はまだまだ居た。きっと相関関係はあったんだろう。でも、因果関係は違うのでは?と思うようになった。

たとえば、普段から和食の粗食にしている人が、うなぎやケーキを食べるというのはどういうシーンだろうか?いわゆる「ハレ」のシーンではないだろうか?人が集まったり、お出かけしたり、日常と違うことをしたことが乳腺炎につながることは可能性としてあるのではないか。授乳間隔が空いてしまったり、疲れてしまったり。普段食べ付けないものを食べて、お母さん自身が体調を崩してしまったのかもしれない。また、赤ちゃんも独立した生き物なので、飲みたくないときもある。たまたま、赤ちゃんの気分と食事にメニューに関連がありそうに見えてしまった、ということもあるかもしれない。などなど、実は別のことが効いているのに、「食べたから詰まった」と考えてしまうと、本当の原因を見過ごしてしまうのではないだろうか。

じゃあどうすればいいのか。東日本大震災のデマについて荻上チキさんが書かれていた本には「ワクチン」が大事と書かれていた。
災害時も、心身は極限状態。やはり情報の真偽を判断するのはとても難しい。前もって「こういう情報は危ないかも?」ということを知っておくことが、大事だということだ。妊娠や出産についても同様ではないかな、と思う。心身に余裕のあるときに、少しでも「そうなのかな?」と調べておくことが、いざとなったときに役立つように思う。

検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)

検証 東日本大震災の流言・デマ (光文社新書)

英検理事拝命

公益財団法人日本英語検定協会の理事を拝命いたしました。

私自身は、英語教育を専門領域とはしていませんが、自分の研究領域であるプライバシーに関してと、教育者として関わっている「英語で」教えることに関して等で貢献していきたいと思っております。

旧姓使用の限界

  • 専門職の旧姓使用

2001年時点での男女共同参画局の資料(PDF)では弁護士・司法書士の旧姓使用は可能だったが、その他の資格においての原則旧姓使用は認められていなかった。2015年時点では多くの資格で旧姓使用、あるいは旧姓の併記を認めるようになった。
公認会計士 、税理士は業務において旧姓を使うことができ、建築士旧姓を併記することができる。また、教員免許の氏名の書換えは任意のため旧姓のまま使用することができる 。医師免許や薬剤師免許も同様であるが、登録氏名は変更する必要がある。いずれの場合も登記や税金関連の書類は戸籍上の氏名のみで旧姓は使えない。以下は関連リンク。

  • 身分証明書の旧姓使用

保険証、運転免許証は旧姓使用不可。そのため、身分証明書の提示が必要とされる銀行口座開設、クレジットカード作成は旧姓で行うことはできない。

唯一パスポートのみ旧姓併記が可能。ただし、ICチップには記載されず、券面に( )で併記されるのみ。

Q16.結婚して姓が変わりました。旧姓を旅券に記載することは可能ですか?
A.できません。ただし、例外的に併記することが可能な場合があります。

 パスポートの氏名は戸籍に記載されている氏名でなければいけませんので、結婚や養子縁組により姓が変わった場合は、改姓後の氏名でパスポートを作成する必要があります。ただし、外国で旧姓での活動実績があり、旧姓表記でないと支障が生じる場合など、渡航にあたり旧姓などの別名も併記する必要がある場合は、その必要性が確認できる書類等を提出していただき、審査の結果、これが認められる場合には、別名併記が可能です(この場合は姓の後に括弧書きで表記されます。なお、この場合、別名併記はあくまでも例外的な措置であるため、ICチップには記録されません。)。詳しくは、各都道府県の申請窓口へご確認ください。
外務省 こんな時、パスポート Q&A

旧姓使用の希望者

第18期学術会議会員210名中114名(回答率54%)が回答し、文部科学省の研究者登録の姓名は戸籍名、通称(旧姓)のいずれでも使えるようにすべきという意見が多数。戸籍名のみにすべきという意見は1名のみ。
池内了. 研究者の別姓使用に関するアンケート結果について.学術の動向.11. pp.88-91,2001)(JSTAGE)

SNSでの旧姓使用についても質問。Facebookの利用において、20代の既婚女性では、回答者の22.6%が旧姓のみを登録、19.4%が旧姓と新姓を登録(合計42.0%が旧姓を記載)。職場では、20代既婚女性の24.4%が旧姓を使用。若い世代ほど旧姓使用率は高い。

回答者の25.3%が仕事で旧姓を使用、さらに2.4%は事実婚で改姓せず。旧姓使用をしていると回答した者のうち、28.2%が旧姓使用の不便があると回答、71.8%は不便はないと回答している。また、旧姓使用あるいは併記ができたらよいという項目は、銀行口座、クレジットカード、パスポート。