昨年より参加している教育ゼミ(東工大・吉川研究室)の一環として、カール・ポパーを合宿して読むことになった。この教育ゼミとは、
「教育ゼミとは、教育関係を中心に研究しているのではなく、参加者相互が教育されるという触発行為を期待して命名されたゼミ」(吉川研webより)であり、月に一度、土日のどちらかにほぼ一日かけて本を読むゼミだ。何を読むかは、連鎖的に決まっていく。読書(どちらかというと乱読)仲間として、参加させていただくようになった。修士の学生さん、社会人ドクタ−、卒業生、研究員などいろいろな方々が参加している。
前回読んだ
- 作者: 伊勢田哲治
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2003/01/10
- メディア: 単行本
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- 作者: カール・ライムント・ポパー,大内義一,森博
- 出版社/メーカー: 恒星社厚生閣
- 発売日: 1971
- メディア: 単行本
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ポパーは、帰納法(ここでは枚挙的帰納法。カラスAが黒かった、カラスBが黒かった…と列挙していくことでカラスは黒いという普遍法則にたどりつこうとするもの)では駄目だ!と強く主張し、そのことが繰り返し語られる。実証と反証の違い。演繹された命題(本文中では言明、と書かれる)に対して、テスト(反証)し、それを耐え抜いたなら、その時点では'験証'された、とされる。もちろん、テストは理論上は無限に繰り返せるけれど、現実的には、この時点で、という条件付で認めることになる。
夜半になって一旦中断。翌朝は、5時から再開した。真夜中に眠くなって、「じゃあ5時からにしましょう」と口走ってしまったことを、ちょっとだけ後悔。朝日に照らされて、T君が発表している姿は神々しかった。
- 作者: カール・R.ポパー,大内義一,森博
- 出版社/メーカー: 恒星社厚生閣
- 発売日: 1972
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確率や量子論の話になると、ポパーはかなり頑張っている印象だ。読む側も、ぼんやりする頭でついていこうとする。この時代の科学といえば、「絶対に正しいと決まっている」ことを「ああ、やっぱりそうだった」と実証すること。自然科学であればなおさらそうだった。それに対して、「現時点では反証に耐えた」に過ぎないと指摘したのがポパー。
今だって、この時代を笑えない。疑似科学と呼ばれるものの反証可能性について、腹の底から理解したいなら、スパモンがオススメ。
- 作者: ボビーヘンダーソン,Bobby Henderson,片岡夏実
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本
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