ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

ギリギリだった2017年

とにかく、いろいろなことが綱渡りでギリギリで、でも振り返るといろんな経験をした2017年だった。誰かの参考になるかもしれないということで、書いておこうと思う。

 

子育て生活

乳幼児3人を育てながら働くことが、こんなにハードだとは思わなかった。

4月、生後半年で認可外から認可保育園に移った末っ子は、いきなり急性中耳炎での発熱を繰り返し、主治医には「保育園に行かせてるんだから、仕方ない」と言われてしまった。夏〜秋〜冬と、手足口病ヘルパンギーナ、インフルエンザ、アデノウィルスと次々と罹患し、熱性けいれんで救急のお世話にもなることに。市の病児保育室&フローレンス(病児保育)がなければ、とても仕事どころか生活することもできなかった。父母ツーオペで、休みや遅刻早退をやりくりしあっていても、厳しかった。授業や学務はできるだけ前倒しで進めていたし、急な早退や休みには周囲の方々にも助けていただいたが、それでも、繰り返し何度も何度も、立てていた予定が崩れる連続で、自分自身が大声で泣いてしまったこともあった。

「なんでこの子ばっかりこんなに病気するんでしょうか」と病児保育室でこぼしてしまったら「そりゃ上に2人いたら、たくさん病気もらってくるし、上の子たちは強いから熱出さなくても、小さい子はまだ熱出しちゃうからねえ」と言われた。そうかもしれない。いちばん上の子は、末っ子がかかった病気のいずれも全くかからず、両親もかかったインフルエンザにもならなかった。いつのまに強くなっていた子に驚きつつも、早く末っ子も強くなって欲しいと切望している。

 ただ、子どものおかげで広がった世界ももちろんある。海洋生物に夢中な第二子のおかげで、サメの種類には詳しくなった。シノノメサカタザメとか、ヨシキリザメとか知らなかった。

 

研究生活

 国内の研究会と全国大会で調査結果を発表し、それらをまとめたものを国際会議(マレーシア・ランカウイ島)で発表。さらに、もう一つ分析を付け加え、新たな視点から書き上げた和文論文誌を一本という形で、過去に実施した調査をまとめることができた。「ふだんから2つ名前を使い分けている人は、オンラインでもリアルでもどう使いわけるのか」というリサーチ・クエスチョンから始めた研究、実はFBでの旧姓・戸籍姓の併記は少数派で、旧姓のみが多数である一方、たとえば年賀状や親戚づきあいでは、仮に事実婚でも「相手の姓を名乗る」という慣習が優先されていた。人がコンテクストによって、名前を名乗り分ける様を具体的に明らかにしたものだ。

 新しいものでは、RISTEXで鳥海不二夫先生が代表のプロジェクト「未成年者のネットリスクを軽減する社会システムの構築 」の調査・教育のGLとして参画することに。夏には面接および面談にも同行した。本学の中学・高等学校とのコラボレーションも始めつつある。

 研究というよりは教育の話だが、今年は博士論文の外部副査もお引き受けした。審査する観点で論文を読み、コメントをするのはむしろこちらが勉強になる機会だった。そういえば自分も博士号をいただいてから10年めだった。

 ただ、今年は本当に時間を取りづらかった。どうにか、論文読みや執筆のために時間を空けても、それが子どもの急病で完全に潰れることが、いったい何十回あったのか。どうやって時間を確保するかは頭の痛い課題。特に、せっかく機会をいただいている書籍執筆が全然進められなかったのが、とても悔しい。

 

趣味など

 NHK大河ドラマおんな城主直虎」にハマった。50回すべて観た。きっかけは、年始めにたまたまNHKをつけていて、鳥肌の立つテーマ音楽と思ったら菅野よう子作曲だったこと。菅野音楽の大河を観られるなら!と見始めたらすっかりハマった。歴史はそれぞれの立場からいかようにも解釈できることを何度も痛感させられた。「おとわ」が、「次郎」とも「殿」とも呼ばれるときの、コンテクストとアイデンティティの違いも(関心領域に近いもので)興味深かった。

 ママ友・パパ友たちと飲み会やコミュニケーションを楽しめた年でもあった。いわゆる「ママ友」を勝手に怖がっていたけれど、意外に楽しい。新しい飲み友とも言えるかも。

 

振り返り

 1月:大河ドラマ直虎見始める。夜間授乳しつつ、感想Twitterを追うのが楽しみ。

 2月:産休分の新規科目を集中講義。夜間授乳しつつ、赤児を抱っこひもに入れつつ、国際会議に投稿する論文を書いた。まずデータ分析部分をpptにして並べて考察し、それから肉付けしていく書き方で。研究会発表@京都も1件。

 3月:春季大会発表1件、全国大会登壇1件。乳児置いて初の一泊@名古屋。中高時代の恩師にもお会いして論文にコメントをいただけた。年度末〜年度初は上の子の胃腸炎で保育園行けず、自宅仕事と病児保育頼み。

 4月:0歳児が上の子たちと同じ認可保育園に入園。ならし保育中の学科会議は、エルゴに入れてだっこで参加。末っ子の中耳炎で何度も呼び出しあり。さらに真ん中の子が胃腸炎で、自宅仕事と病児保育頼みに。

 5月:末っ子初節句、三兄弟和装で写真撮影。国際会議の論文と和文論文誌投稿の論文を合間に書く日々。

 6月:RISTEX申請書2件提出。週末は中央大ビジネススクールの講義。

 7月:マレーシア・ランカウイ島のICRIISで発表、PACIS2017参加。このとき、一度凄まじい偏頭痛でのたうち回った。筑波大講義、中央大講義と非常勤続く。月末に、ジャーナルに採録された論文を口頭発表。あと、初めて胃カメラを飲んだが、鎮静剤が気持ちよすぎた。

 8月:RISTEX面接と面談。本の原稿も書く。オープンキャンパスの授業を担当。

 9月:下の2人の子どもがヘルパンギーナで40度の熱。自分にもうつり、口内炎のようで涎がこぼれてしまい口をきけない状態に。ワンオペ時に子ども救急騒ぎになったり、どうにか生活をつなぐのが精一杯。末っ子救急時にかみしめすぎて、歯が割れてしまい、激痛で歯科医に飛び込む。

10月:IIW参加@Mountain View. 末っ子の発熱呼び出しが相次ぐが、どうにかShort Paperを1件書き上げ投稿。

11月:ゼミ生たちと日本科学未来館へ。その直後、十数年ぶりにインフルエンザB発症。まさに接種を予定していた日に発熱し、高熱と脱水で救急車搬送された先でインフルと判明。上の子以外全員罹患。病児保育室に助けられた。インフルは体力を奪うので、その後皆発熱したりどこか体調を崩したりした。仕事何もできず。月末の情報処理学会セミナの登壇は、ぎりぎりで体調回復が間に合った。

12月:博士審査、卒論指導と勉強会。末っ子アデノウィルス感染で40度の高熱が3日間。病児保育と呼び出し対応と、ツーオペで対応しつつ、本当にギリギリで回していて、ようやく年末、全員健康な状態で年を越せそう。

 

本年は大変お世話になりました。弱音を吐いたり、支えていただいたりでした。

来年はもう少し、元気に、いろんなことができればいいなと思っています。