ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

ケネソー州立大で日本のゲストをお迎えした

マンガ教材の共同研究をしている、東工大の寺野隆雄先生と吉川厚さんにゲスト参加していただいた。渡米前から、このときにやるぞ!と決めていたもので、シラバスにも書いていた。ただ、地震のこともあって、日本からいらっしゃる吉川さんは来られないのではと思っていた。が、ちょうどNEXも動いていた日で、お越しになれたのだ。


大学院の講義では、少数ながらもがっちりディスカッションできた。ソーシャルメディアの利用に際して、個人・企業という種類の違う顧客はどのように関わるのか。マンガは2009年のもので、その頃にはなかったサービスを含めた考察をしようと投げかけると、FacebookTwitterの使い方、そしてその費用を誰が負担するのかという観点が出てきた。


マンガの読み方も説明した。写真や映像ではなく、描画にする意味。何を強調し、何を秘匿するかによって情報を埋め込む。ちなみに、この写真にうつっている私、なんだか銅像みたいですね。

ソーシャルメディアの講義ということもあり、東京で地震を経験された吉川さんのお話もいただいた。


携帯が止まること。情報が錯綜すること。公式な情報が遅く、個人同士の情報に基づいて行動されたということ。自転車屋さんには、どこの道が通れる・通れないという情報が集約されたこと。位置情報がない情報はほとんど使えなかったということ。
ご本人から指摘をいただいて修正。自転車屋に情報が集まっていたのではなくて、地震が起きて一時間後から自転車と食料を買う人が生じていたと。また、ニュースでは災害のひどいところのニュースばかりで、都心で生きている人間に役立つものはなかったと。情報が集まっていたのはネットを見ていた人が、複数の情報を合わせて判断し、教えてくれていたことであり、それによって食料を買い出しが適切にできたと。

その間、メディアは悲惨な状況だけを流しており、不安感を増幅させ「危ないですから外に出ないでください」とか「今すぐに歩いて帰宅されると2次災害に会う恐れがあります」と言われてもそれに従う人はどれだけいるのか?と。吉川さんご自身は、地震の起き具合を見て、おさまってきたことから自分で判断なさって帰ったという話でした。


地震を直接経験されなかった寺野先生からも、電力の話など、お話をいただいた。

その上で、私のクラスでは、今後ソーシャルメディアと災害についてきちんとまとめ、議論しましょうと話をした。私たちのミッションとしてこの経験を知識として整理し、共有していくことが、外国に居ながらできる貢献であり、私たちにとって必要なことでもあると。

この時期に、日本からのゲストをお迎えできたことに感謝しつつ、私のクラスでできることを考えようと思った。