ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

学会立ち上げ:GEAR2012

東工大寺野研究室の関係者を中心に、近年議論していた「実験経営学」をフィールドとする学会General conference on Emerging Arts of Research on management and administration (GEAR)を立ち上げることになり、第1回の大会を開催した。私も、共同研究者(+珍道中仲間)というご縁で、Workshop Chairやプログラム委員を務めさせていただいた。

GEAR2012
http://www.trn.dis.titech.ac.jp/GEAR/2012/

午前中は、マンガ教材による実験経営学応用ワークショップ。私の一つめのお役目でもある。数年にわたってのチャレンジを紹介しつつ、ワークショップ自体に実験を盛り込んだ。いろいろな立場の方に参加いただき、マンガ教材を読んでのグループワーク、作業、そして発表。ここで得られたデータは次のGEARまでに分析できればと考えている。

昼休みには、ランチを取りながらのポスターセッション。今回は萌芽的なアイデアが多く、これをどうふくらませるかという議論が弾む。その裏方では、ギリシャSkype接続のテストをしていた。

午後のプレナリーでは、実験経営学を提唱された、寺野隆雄先生(東京工業大学)による基調講演。目次をdiscographyにして、曲目が並び音楽が流れる中でのご講演だ。(日本語でのご講演を、裏側でSkypeチャットでギリシャ側に中継していたが・・翻訳って疲れるのですね)

基調講演を受けて、ギリシャのUniversity of Aegean、Apostolos GOTSIAS先生との対話セッション。経済学者である彼は、企業・組織・ユニットという単位における「交換」において、価格とは情報であり、その情報の速度にレベルがあるのではないか、とコメントした。その上で、インセンティブと価格の変化にすばやく対応するには、実験的アプローチが必要であると。これまでの経済学では、「何もかも知っている神のような人間」を前提にしていたが、実際には違う。何が変数になるのかを再度定義する必要があるのでは、という問題提起もあった。

プレナリーの後は、並行して発表セッション。この内容は、学会後のPost Proceedingsとして発行予定だ。

会議全体が実験的で、ここでたくさん失敗も試みもして、その上で外に出て行こうというコンセプト。今後も続けたい。