ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

マンチェスタービジネススクールでマンガ教材ワークショップ

中央大学に勤務していたときから継続し、現在も共同研究プロジェクトに参加している「アドバンスト・ケース」ことマンガ教材。マンチェスター大学ビジネススクールで開催された、英国Service Science Management and Engineering (SSMEnetUK)の会議にて、ワークショップを開催した。2009年12月のOASIS (ICIS2009)での研究発表、2010年3月にCMUで開催されたCSEETでのワークショップに続き、三度目の海外発表だ。

Case Studies in Service Innovation: Two day conference June 14th/15th 2010
Hosted by SSMEnetUK and Centre for Service Research, MBS
http://www.ssmenetuk.org/netactivity.asp?pid=18

今回の教材は、「サイト燃ゆ」。私が以前執筆した「フォートラベル2007」のケース(このサイトから入手できます)を元に、様々な要素を入れ込んでマンガとして作成したケースで、サイト炎上の問題、組織のリスクマネジメント、法的課題などいろいろな教育主題を織り込んでいる。

Workshop 1: MANGA Business Case Study Using Narrative Approach
Leader: Takao TERANO, Prof., Dr. Eng., Dept. Computational Intelligence and Systems Science, Tokyo Institute of Technology, Yokohama, Japan
Facilitators:
Prof. Hideo Yamamoto, Chuo University
Prof. Atsushi Yoshikawa, Tokyo Institute of Technology
Prof. Akiko Orita, Keio University
Prof. Mikako Ogawa, Tokyo University of Marine Science and Technology

われわれの持ち時間は90分。対象者は、いわゆるケーススタディに携わったり、教育に携わったりする人たち。マンガの読み方は、西欧人と日本人では違う、ということがこれまでの経緯から分かっている。そのため、コマに番号を振り、読み方のインストラクションを行った上で参加者に読んでもらった。あらかじめいくつかの「考えられる課題」を配布したが、これによって読んでもらうべきポイントを示せたのか、それとも読み方を制限してしまったのかは考えどころだろう。

短い時間だったが、読み解き方をたどりながら、クラスの構成も体験してもらった。描画からの読み解き、台詞から数字を推測しながらの計算、全体を通して考える意思決定問題。グループを回りながら、鋭い指摘にこちらが冷や汗をかいた。

アンケートを回収して終了。その後いくつかの反応をいただき、コンセプトを共有できた参加者からは今後連携できるかな?ともお話をいただいた。しかしハードな会だった。。教材の作成に関しては知見を蓄積しつつあるが、教授法とその評価は課題が残る。

なお、マンガ教材については、以前もこのブログでご紹介したが、共同研究者でもある吉川厚先生の対談記事を参照いただきたい。動画も見つけたのでリンクした。いわゆる「島耕作」シリーズのようなストーリーを読ませるものとの違いにご注意を。

日本漫画総合研究所
日本の未来社会を漫画が変える ビックインタビュー Vol.2 吉川厚氏
http://soken.trendpro.co.jp/big_interview/vol2.html

余談。iPadに他のマンガ教材も入れて持って行き、興味のある参加者に見せていたのだが、むしろiPadが目を惹いた模様。「くれるの?ありがとう!」と鞄にしまおうとした人までいた(笑)