ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

食の秋

この秋は、食品原材料についての研究報告を発表した。厳密には専門分野ではないのだが、私自身が軽いアレルギーを持っていることと、化学物質に過敏な体質であることもあり、2006年頃から関心を持っていたテーマではあるし、ITmediaオルタナティブブログには、以下の記事を書き続けていた。

自動販売機で買えないのよ… (2006/06/23)
食品サイト:原材料が分からない食品詳細 (2006/07/27)
食品サイト(2):質問文を変えてみた (2006/08/02)
これなら食べられる!ための情報 (2006/12/21)
ネット通販では食品の原材料が分からない(2008/02/03)

この夏、共同研究者の方々とお話しながら、このテーマをきちんと検証してアクションを起こそうと思い立ち、3つの研究報告をした。

田中あやか・折田明子・小川美香子
「携帯電話による食の情報提供の可能性と課題」
経営情報学会2009年秋季全国発表大会

このプロジェクトで私が担当したのは、生活協同組合の方々に実施したアンケート調査の分析。アレルギー患者でなくとも原材料情報への関心は高いことが浮かび上がった。この研究には、お話をするうちに急遽参加させていただいたのだが、継続的に続けている試みが動き始めればいいなあと思っている。

折田明子・羽田久一
「インターネット上で得られる食品原材料情報に関する一考察」

羽田久一・折田明子
「個人利用を目的としたユーザ参加型食品原材料データベースの構築」
情報処理学会 第141回マルチメディア通信と分散処理・第73回グループウェアとネットワークサービス・第46回電子化知的財産・社会基盤合同研究発表会

もともとはe-ケアプロジェクトの関連でお話を伺ったもの。少しお手伝いするだけのはずが、「そもそも本当にネット上で原材料情報はどこまで入手できるのか?」「原材料情報って知りたいと思われているのか?」というあたりをきちんと調べてみたくなり、私がfirst authorの報告を書きあげてしまったのが前者だ。後者は、それをどうやって実現するかという試みで、飲食物の写真を撮影する人は少なくない→ならそのまま裏面(原材料)も撮って!という気持ちが根底にある。

取り組み始めてみると、ネットを介した情報開示、そのトラストをどこで担保するかという問題、ユーザが参加するためのインセンティブなど、自分の関心分野から貢献ができそうだと思えてきた。研究報告の際にいろいろなヒントもいただいたので、これも「わらしべ長者」的に成長させたい。