ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

相鉄・ほどがや能

相鉄・ほどがや能のチケットが当選したので行って来た。能も狂言も興味はあったのだが、敷居が高くて見に行ったことはない。幸い、大学からの帰り道の相鉄線沿線なので、今週は前もっていろいろ頑張って予定を空けた。

まずは横浜能楽堂館長の山崎有一朗さんのお話。70歳くらいの方と思いきや、「相鉄線は90周年と言いますが、私はその4年前に生まれまして‥94歳です」と!聴衆からはどよめき。しゃんと立っていらして、お話も大変よかった。初めてでも「早くみたい!」とわくわくさせるような話だった。

曰く、「理解しようとしない。美しさを感じてください」とのこと。踊りは縦方向、舞いは横方向だと言う。「立体的な絵を見ているものと思ってください」という一言に、リラックスできた。

舞囃子は「高砂」(岡本房雄)。足をどんと踏み鳴らす音と動き、太鼓との間合いが独特のリズムだった。続いて狂言「萩大名」(三宅右矩)。大笑いで楽しめた。休憩を挟んで、能「羽衣」(観世恭秀)。能面をつけた天人が入ってきたとき、舞台の美しさにはっとした。シテの衣装は鮮やかな橙、ワキの衣装は黄緑。動きはとてもゆるやかに始まったが、声と太鼓と笛の重なりが、美しい。何を言っているかを考えずに、ただ重なりを感じていた。天人が去っていくところは、すーっと横滑りのように歩き、名残惜しむようにふわっと回って消えていった。空中で旋回するかのようなやわらかさと軽さを感じた。

2時間は思ったより早く過ぎた。