ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

匿名→名乗り→実名

2007年にいただいた科研費では、匿名性の構造、経緯、効果を整理した。2009年の科研費では、名乗りとIDの関係について整理した。今年からは、そもそも実名とは何か?について考えていきたい。

申請書類を書く上で研究計画を読み直している。今年度からはこうしたテーマを掘り下げていくつもり。共同研究などご一緒している皆様のご協力もぜひいただければありがたいです。

以下は、申請書より抜粋。昨年の10月に書いたものだ。

【研究概要】
インターネット上の実名の開示は、コミュニケーションにおける信頼性やサービスにおける本人確認等、安全な利用において必要とされる条件であるが、実名と仮名を区別し保証する情報は、一般には利用者間では開示されない。ソーシャルメディアの利用者はサービスごとにIDを取得し、そのIDにはモバイル端末によるリアルタイム性や位置情報といった実空間情報、知人とのネットワークなど、自分が意図せず提供する情報が集約される。これにより、実名の公開の有無にかかわらず、実在のアイデンティティ特定につながる可能性もある。

本研究は、IDと利用者が提供する情報に着目し、ソーシャルメディアの安全な利用に向けて「実名」とアイデンティティの再定義を試みることを目的とする。

【何をどこまで明らかにしようとするか】
グローバルに展開されるサービスであるソーシャルメディアの主なサービスを対象に、日本と海外諸国において、(a) サービス提供者 (b) 利用者 (c) 制度という観点から、下記の4点を明らかにする。
インターネット上の「実名」をどう定義しているのか。
戸籍/住民登録上の名前、日常生活で使用している名前、継続して使用している名前 等
「実名」という要件に求められているものは何か。
本人到達性、支払い能力、コミュニケーションにおける信頼性、なりすまし防止 等

上記の要件を保証するためには、従来の「実名」以外にどのような方法があるのか。
保証された公的あるいは民間IDと仮名の組み合わせ 等

グローバルサービスにおいて、国ごとの共通点および相違点は何か。