ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

Google Buzz の3つの問題点:なりすまし・意図せぬフォローと可視化

Gmailを開いたらGoogle Buzzというサービスが紹介されていた。どうやら、メールをやりとりする相手との間で、Twitterにように一言程度のpostを公開し閲覧しあうことができるらしい、との雰囲気で、私も早速機能をオンにした。このサービスは、活用できればより人間関係やネットワークを広げられる可能性を持っていると思う。ただ、それはユーザが自分の状況を理解した上で意識的に行うべきことであって、正しい理解なしに無意識のうちに利用し、ある場面で意図しない「やられたー!」という事態は避けるべきだと思う。

私自身は、自分の本名をウェブに掲載して、これまでになしてきたこと、考えていること、Twitterの投稿(@oritako)も公開し、自分の本名(折田明子)にひもづけている。その意味では、情報を意図的に公開することに躊躇はないし、SPYSEEなどでクロールされて一覧されることにも関心はあれど抵抗はない。基本的には、Googleの言う

入力する情報が多いほど、友だちに見つけてもらえる可能性が高くなります

というのはその通りだと思うし、見つけてほしいし見つけたいとも思っている。ただ、自分の情報にひもづいた他者の情報や、他者との人間関係、ソーシャルグラフが公開されてしまうとしたら、注意がいるだろうなと思う。

そんなわけで、Google Buzzの注意点として気づいたことがあるので、3つほど。特にプライバシの問題が騒がれているようだが、私は(1)のなりすましがもっとも危険と感じた。

(1) なりすましの危険性
Google BuzzTwitterと連携させてみた。が、何の認証もなくTwitterのpostが転載された。Facebookなどでは、いったんTwitter側のuser/passで確認を取る。該当するgmailアカウントとは無関係の、普段使っていないアカウントのpostを流せるように登録してみたところ、buzzに表示された。

つまり、不正アクセスという手段ではなく、他人のタイムラインを自分のものであるかのように表示するなりすましの危険があるということだ。私が、友人のtwitterアカウントを利用したら、友人が投稿したものが、私のBuzzの一部として表示されるだろう。

(2) 意図しないフォロー関係
初期状態から既に自動的にフォロー(閲覧する)・フォローされる(閲覧される)状態ができあがっている。これは普段のやりとりの結果の反映だと思うが、Google Talkをblockしている数名もフォロー関係に登録されている。自分の意図に関わらずフォロー関係が生まれてしまうことには注意が必要だ。何かを書く前にフォロー関係を整理した方がいいだろう。

(3) 意図しない可視化
どのサービスを同一人物として使っているか。誰とつながっているか。「複数の行為が同一人物のものであると判定できる」ことを「リンク可能性」(Linkability)と言うが、これらは匿名化やプライバシと深く関わる要素でもあるし、それを「誰に見せるか」という観点も欠かせない。例えば、はてなサブアカウントは、他のユーザに対してある程度の匿名性を確保できる。複数のアカウントがどの人にひもづけられているかは、他のユーザに知らせないが、はてな(サービス提供者)は知っている。支払い情報も登録してあれば、少なくとも請求のためのトレーサビリティも確保される。

Google Buzzを使うのであれば、上の図でいう「サービス提供者」にしか開示してなかったはずの情報が、ユーザ間にも開示され可視化されることへの注意が必要だ。
Buzzの最初の画面には

Google Reader の共有アイテム、Picasa の一般公開ウェブ アルバム、Google トークのステータス メッセージは自動的にバズで投稿として表示されます。接続済みサイトを編集したり、プライバシー設定を変更したりするには、接続済みサイトを確認してください。
Googleによる注意書きより転載)

とあるので、ここで連携させるサイトの設定をしておくべきだろう。下図は私のサイト設定中の画面。これをどう設定するかは、何を共有したいか、したくないかを意図的に考えてするべきだと思う。すべてを隠すことだけがいいとも思わないが、意図しない情報公開は避けるべきだ。

その他、公開したい情報としたくない情報は「プロフィールを編集」から確認しておくことをおすすめしたい。