ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

故人のAIについて:学会発表&記事

故人が残したデータをもとに、AIやCG、VRといった技術によって故人が「復活」できるなら、どうするか? この問いに対して、2件の学会発表をし、さらに1本の記事を書いていただいた。

 

自分が死んだ後にどうしたいかについて聞いた調査では、約3~5%程度が自分のデータをベースとしたAIに肯定的であった*1。では、親しい人や著名人が亡くなった後はどうか。

特定の著名人を想定した上での調査では、約4〜6%がAIやVRによる復活に肯定的であったが*2、2020年〜2022年の間に近親者を亡くされた方への調査では、故人のデータをベースとしたAIに肯定的だったのは、わずか1.3%であった*3

 

故人のAIについて、ジャーナリストの古田雄介さんから取材の機会をいただいた際、上記のデータをお示ししてお話ししたのだが、それが本日(9/7)、日経ビジネスで記事になった。私のデータの話だけでなく、WhateverのD.E.A.D(死後労働)の話もあり、タイトルの通り需要と課題を考えさせられるものになっている。

business.nikkei.com

付記:

なお、記事中のWhateverのお二人とは、以前鼎談した記事もあります!

whatever.co

 

 

 

 

*1:対価の有無によって異なる。詳しくは 中川裕志・折田明子「死後の個人データの公開された利用法に関する社会調査 利用統計」情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) 2022-EIP-95(15) 2022

*2:2022年社会情報学会学会大会で発表「著名人の死後残されたSNSにどう向き合うか」

*3:「故人のデジタル遺品にどう対処したか〜近親者を亡くした方への調査から」情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) 2022-EIP-97(3) 2022