ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

パネルディスカッション

第二部はパネルディスカッション。このモデレータが私の役目だ。事前の打ち合わせでなんとなく質問は用意されていたものの、講演とパネルを受けて手元にメモを取りながら質問を再構成する‥という作業にない頭をフル回転。今回はアジェンダが大きかったため、話題の絞り込みがやや不十分だったかもしれないことを先にお詫びしておきたい。

パネルはAmazon渡辺弘美さんから。「日本はネットネイティブな国になれるのか」と口火を切り、e-taxや支払いの不便さに比べて、消費者がデバイスを自由に使っていることを紹介した。彼らの力を活かすことの必要性、誰がイニシアティブを取るべきかという問題提起がなされた。続いて、総務省谷脇康彦さんは、ICTは短期と中長期両方の視点が必要とした上で、電子政府の実現には、やはりユーザサイドに立つことが必要と述べた。現在話が出ている「霞ヶ関クラウド」もプッシュ型で国民の役に立つものとして設計される見込みだ。慶應義塾大学の金正勲先生は、規制と政策における国の役割について整理。規制の最小化と消費者保護はどのように両立できるのかと問題を提起した。最後に國領二郎先生は、ITがすぐさま創造性につながるかのような「魔法」としての考え方ではなく、IT→[ ] →創造性の[ ] に何が入るのかを、民間も考えなくてはならないと述べた。

モデレータからは、2つの問いを提供した。一つには、ユーザの活性化を踏まえた上で、クラウドコンピューティングに対するおそれや誤解(すべてのデータを米国に提供するのか?)に対して、これを陰謀論ではなく活用に活かすために何が必要かということ。二つには、利用者間・利用者と事業者・国内、そして海外へとサービスに対する冷静な理解と合意を得るためにはどのような組織作りが必要かといこと。

前者については谷脇さんが「クラウドによって外国にすべてのデータが取られるというのはステレオタイプ」とばっさり。冷静な説明と理解が必要だと述べられた。Smith氏もデータの移動に関して国際的な協調が必要だと述べたが、國領先生はその協調とは具体的に何なのか?今すぐやらなくてはならないことだと強く主張。金先生は米国FTCが実施した公聴会の例を紹介した。

フロアからは、東洋大学山田先生、東京大学江崎先生、GLOCOM城所先生から質問をいただいた。壇上に上がっていただきたいくらいだったが、残念ながら時間切れ。もっと時間があればよかったと思ったがしめくくらせていただいた。