今回はこの4冊を対比して読んだので、私なりの順番でご紹介してみよう。
まずは、2007年の1月に毎日新聞で連載されていた内容がまとめられた本。何かとCGMとの相性が悪いと考えられているところだけれど、改めて読んでみると「こうした見方もあるのだ」ということに気づく。良くも悪くもネット利用に慣れている自分には気づかない視点が満載だ。見落としていたことでもあり、「そうじゃないよ!」と言いたいこともあるが、自分の問題意識をふつふつと顕在化させる役に立ったと思う。
- 作者: 毎日新聞取材班
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2007/10/20
- メディア: 単行本
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次にかつて研究室の仲間でもあった濱野さんが書いた本を読む。こちらはネットの善悪を問うものではなく、ある意味前掲した書籍への答えの一つでもあると思う。「アーキテクチャ」としてのインターネット。あらゆるソーシャルメディアを構造的にとらえ、分類し、分析した本だ。絶対に読んでほしい。今ネットで「いる」場が、どういう場なのかを理解するためにもっともふさわしい本だと思う。
- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最後に、これは昨年の知識共有コミュニティワークショップで、ネットレイティングスの萩原さんよりご紹介いただいた本。これも冷静な分析だ。イノベーション理論のWeb2.0版という印象だ。ネットコミュニティやソーシャルメディアの戦略を考える上で欠かせない本。われわれは「ブログやSNS」といったように、つい一括してとらえてしまい、多機能な場を設計しがちだけれど、あちことにプロフィールや日記を書くほどの時間を持っている人は限られているだろう。そこにどういう人たちが集まり(たとえば育児中の母親は?思春期の女子は?)、どう使わせるのか(ブログよりも掲示板?自分の心身に関するテスト?)を、データから読み取って(この層は何をしたいのか)設計するという視点。これも、善悪ではなく設計だ。わが研究科(戦略経営研究科)の学生は読むべし!と講義で紹介しまくった。
グランズウェル~ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press)
- 作者: シャーリーン・リー,ジョシュ・バーノフ,伊東奈美子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/11/17
- メディア: 単行本
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