ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

DAS-P2P2008

初日のWorkshop、DAS-P2P。今回は3回目の開催だ。冒頭にInvited Talkとして、"Towards Accountable Anonymity, Pseudonymity Design"というタイトルで講演。ユーザの行動にみる「矛盾」を例を挙げて説明し、匿名性に対するpros/consではなく、構造的な理解の必要性を述べた。あくまで、ユーザ視点から。複数の行為のリンク可能性(Linkability)は、氏名を秘匿しつつも信頼性を担保する一方で、無自覚さがプライバシー漏洩を引き起こす。

2つのセッションを経て、最後は"Talking Circle"と題したディスカッションの時間。発言する人は指示棒を持ち、次の発言者に渡すというルールだ。

ここでもLinkabilityについて引き続き議論。冒頭のTalkで紹介したエピソードが引用され、本人が意図しないのに情報が関連付けられてしまうことについて、ユーザがあまりに無自覚であることと、一方で技術者というのは、ユーザがそれらを意識しなくてもいいようにサービスを設計してきたのではないか、という話になった。そもそも、完全に匿名なんて状態はありえない、という発言も。コンピュータサイエンスの専門家*以外*への理解は、インターフェース設計なのか、それとも教育なのかという意見も出た。この話題に始まり、エネルギー効率とP2Pというtopicも扱われた。