ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

第3回PFラボ:ヘルスケアとCGM

プラットフォームデザインラボの第3回研究会を開催した。今回は、ラボの秋山さんと私が担当で、「ヘルスケアとCGM」というテーマを設定した。センシティブな経験や情報を交換し、助け合うために、インターネットはどのように活用できるのだろうか。信用ができないと病歴は公開できないのだろうか?それとも、お互いを知らないからこそ、話せることがあるのだろうか?

まずはCGMについて枠組みの共有をするために、簡単に発表。(実は例として挙げたサイトの方々もいらしていて、緊張してしまった)

前半のスピーカーは、株式会社メディエイドの杉山博幸さん。いいなステーションの活動も合わせて発表された。医療に関する情報へのニーズは、患者やそれぞれのステージによって全く異なる。「知りたい」ニーズと「出会いたい」ニーズと「役立ちたい」ニーズが、治療前・中・予後によって変化していくという。(これは、テーマは違うけれどフォートラベルと旅行のコンセプトと非常によく似ていると思った)。

患者会」というものが持っている問題点、一方で組織されていない個人サイトが情報を蓄積できないという弱点を克服するにはどうすればいいのか。杉山さんは新しい患者webサービスのコンセプトを紹介した。いわゆる「エキスパート患者」や「先輩患者」と、「一般患者」との支えあいだ。医療情報は病院などでプロから入手できるが、ピアサポートとしての心理的なサポート、生活に関する経験情報を得るには、経験者同士の情報交換こそ役に立つということだ。

後半のスピーカーはYahoo!知恵袋の服部英一さん。全く見知らぬ人同士が助け合う様子を、データだけでなくその場のデモで見せてくださった。講演の前半で投稿した質問に、終盤には3つも回答がついている。
見知らぬ人だからこそ、聞けることもあるという。発言履歴を残すことで、参加者の発言の責任を持たせると同時に、今後はコンテクストをどう切り分けていくかも課題だと言う。

センシティブな問題である一方で、経験に基づいた情報が求められるというパラドックス。一口に「匿名」と呼んできたものをどう設計するかが鍵になりそうだ。