ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

公文俊平さんを囲む会

公文俊平先生が、国際大学GLOCOMを退任されたことから、先生を囲んでの集まりが持たれた。

前半は公文先生のこれまでを振り返る講演だった。特に印象的だったことを書いてみる。

学生時代の公文先生は、「宇野理論」に夢中になられ、これで全てが理解できる!と思われたそうだ。ところが、ある日突然、宇野理論が理解できなくなったという。今まで読めていたものが読めない。見えていたものが見えなくなるという経験を経て、その後ソ連研究を志された。講演の後、國領先生はこの件について質問し、「凡人なら、今まで見えていたものが見えなくなったら、それを『見なかったこと』にして辻褄を合わせようとしてしまうけれど、公文先生はどうしたのですか」と聞いた。その答えは、次を探す、というものだった。
この潔さ。
信じていたものが違うと分かったときのショックはあるけれど、という前置きがあったが、個人的なショックから視点をくもらすことなく、真実を追い求める姿勢を知り、衝撃を受けた。そこまで深く、進めるだろうか。

引退どころか、今も公文先生の視点は、新しい。Second Lifeにはとうに参加しておられるし、これから新たにシステム論の研究会すら始めるとのこと。若手も負けずに走ります。