ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

Asia Forum on Cyber Security & Privacy

福山市から韓国ソウルに移動。高麗大学で開催のフォーラムに登壇した。基調講演の後、日韓それぞれのプライバシーとセキュリティについて講演、その後にパネルディスカッションという流れだ。私はプライバシーの政策の流れについてご紹介した。

韓国のプライバシーに関する報告では、EUの提唱する「忘れられる権利」について、それらを実効可能なユニットに分解し、何ができるかを具体的に考えていることが紹介された。また、死後の情報については、 "online funeral services"として、データの消去や相続という観点があると紹介された。
この他、メインのイシューには、 SNSスマートデバイス、個人情報の範囲の扱いがあり、いずれも「忘れられる権利」にどう対応するかという文脈だった。

私からの紹介は、願い事に住所氏名を書いて神社につり下げる「絵馬」や、一般家庭の「表札」、インターネット利用における匿名(仮名)指向から始めて、戸籍と住民票はあれど国民IDは無いこと、個人情報保護法の経緯、ガイドラインをベースにした運用の現状について紹介した。個人情報を守る=実名を秘匿をしても、プライバシーは守られない例があることも話した。

正直な感想を言えば、韓国ではコンセプトを具体化し、どのように実装に落とし込むかという話になっていて、それが日本でのガイドラインでの対処と対照的と感じた。そもそも、IDは持っているし、戸籍制度も廃止されたし、韓国と日本は、ある種文化圏としては似ているようで現状がだいぶ違う。少々焦る。

なお、当日の模様は、韓国のニュースサイト「保安ニュース」にも記載された。翻訳をかませないと読めないが、ご参考に。
[http://www.boannews.com/media/view.asp?idx=33631&kind=0:title=http://www.boannews.com/media/view.asp?idx=33631&kind=0
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