ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

第4回知識共有コミュニティワークショップ

(このエントリは後日書いています)
今年で4回目になる知識共有コミュニティワークショップを、東北大学および秋保温泉で開催した。震災以降、東北での学会開催が減っていると聞き、小さいワークショップながらぜひ東北で開催したいと id:arg さんと話しており、この度実現した。


まずは、柴田邦臣さん(大妻女子大学准教授/日本社会情報学会災害情報支援チーム代表)より、山元町での写真保存プロジェクトを中心としたお話をいただいた。特例補装具の事例。実際に使われ、役立っている歩行器であるにも関わらず、基準の上では不適合とされ、利用者から取り上げられたという話から始まった。「プラン・実践から評価まで整った専門知識」を適正なる知識とするならば、非常時に必要なのは、非適正なる知識だと言う。そして、障害を持つ方々は、ずっとそうした非常時に対処してきたと。口で棒をくわえてタイプをするとき、その棒をひっかけておく場所があれば落としたとしても大丈夫など、ほんの少しの工夫が大きな効果を生む。被災地でも、そうだったという。「ネットとテントが張れる人」が必要とされていた。


引き続いて、ニフティ株式会社の鈴木隆一さん、東京工業大学の寺野隆雄先生にもご登壇いただき、パネルディスカッション。
この日の発表セッションは、査読論文セッションでも山元町の取り組みの紹介があったほか、福島第一原発に関する情報の評価、Q&Aの投稿場所の推移など、震災に関わる発表が続いた。

発表の途中で地震。悪い意味で揺れに慣れたのがよくなかった。いったん中断して、逃げられるようにすべき。

夜からは、秋保温泉ばんじ家に移動して、夜のセッション。
国立教育政策研究所 教育研究情報センターの江草由佳さんから、saveMLAKのご紹介をいただいた。博物館・美術館 (M) 、図書館 (L) 、文書館 (A) 、公民館 (K) (M+L+A+K=MLAK) の被災・救援情報サイトであり、Wikiのため誰でも情報提供をすることができる。
最初から完璧な書き込みを期待しない、そのときに書き込める情報が重要で、書式の修正などは後からなんとでも出来る。ゆめゆめ、電話をかけて現場に問い合わせないこと!というのが印象的だった。何らかのきっかけで(もちろん現地を訪れることも含めて)知ることができた情報を共有する、それを積み重ねていく活動だ。

夜のセッションはモデレータをさせていただいたが、非常に難しい。現地に行ける人、行けない人、行ったから分かること、そうでなく俯瞰するから分かることが様々だと感じた。それぞれの思いの強さ、必要とされること。できることと無力さ。まとめられることでは無いが、被災地における性質の違う取り組みについて、お話しいただき、意見交換の機会を持てた、ということだろうか。