ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

ICIS2011に参加して

(このエントリは後日書いています)
ICIS2011に参加しての雑感。ICISの参加は2005年、まだ博士の学生だったころが最初で、それ以降5回目の参加だ。


今回の発表では、ソーシャルメディアを対象としたものが相当増えたように思う。テーマは一見新しいが、いわゆる伝統的な情報システム研究のお作法で、RQと先行研究からモデルを構築し、データを対象に分析し、考察するスタイル。未だにTAM(Technology Acceptance Model)が多かったようだ(私が見た発表では)。1セッション3発表で、発表と質疑の組み合わせでさくさく進む。萌芽的とか冒険的な研究は殆どなく、いわば当たり前のことを当たり前に検証しようとする、カタイ研究だ。ポスターセッションですらそうだ。

正直、今回はあまりおもしろいと思えなかった。。研究のお作法のお手本としては、未だに貴重な会議なのだが。むしろ、年に一度しか会わない人とのネットワーキングが中心になりつつある。

2005年、ラスベガスで開かれたICISに参加したときは、発表者+ディスカッサントで1組、すなわち一つの発表に対してその解釈とコメントの発表で二つの発表がなされていたのだ。じっくり、ゆっくり進められる研究発表は非常に勉強になった。(ICIS2007に参加したときは、出先で博士号取得のお知らせを聞いたなあ…。)その後、ICIS2008に参加したときは3つの発表に対して1人のコメンテータがコメントをする、という形になったが、今年はコメントもなく発表と質疑の、いわば普通の学会になっていた。
採択率は20%程度。情報システム系では最難関の学会。投稿は増えていて、以前ほど一つの発表に時間が取れなくなったとも聞いた。

かっちりとまとめるのはこの学会で。萌芽的や挑戦的なのは別の学会でと棲み分けていくことになるのかな。