ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

アメリカ人が常にすべて実名でオンラインに居るわけじゃない

今日の夜は、大学院の「ソーシャルメディア」のクラス。オンラインとオフライン相互で開催する Hybrid classという開講形態だ。18:30-21:15という時間帯でさえ、教室が足りず、隔週でオンラインのDiscussion Boardを使うものと使い分ける。

今回は初回のオフライン授業。日米の違いについてのディスカッションでは、彼らの知見を引き出す。社会人、だいぶ年上の方々もいて多様な参加者のいる講義だと、このディスカッションをどう回すかに頭を使う。

アメリカでは、オンラインでは、誰もがいつも実名で話しているの?

と聞いてみたら、答えは

No.

だった。ほとんどが実名だし、ソーシャルネットワーキングする分には、人に見つけてもらうために実名を登録するけれど、

  • Online ForumでAndroidの情報交換をするとき
  • Online Forumでサッカーについて文句をつけるとき

などは、匿名(anonymous、仮名さえ持たない)だったり、ニックネームだったりするそうだ。会員登録はいるけれど、別に好きな名前を名乗っていいし、実名をわざわざ名乗らないと言う。

以前、「「日本人は匿名志向・外国では実名志向」を疑う」というエントリにも書いたが、こうした見方に捕らわれすぎるのは危険だと思う。少なくとも、ジョージア州の州立大学に通う大学院生は、そうではないという経験を持っている、ということがわかって、私自身も若干驚いた。

けど、考えてみれば自然なこと。コミュニケーションの形態は、もちろん文化、習慣、技術といろいろな要素によって決定するけれど、何か一つで100%決まるわけではない。日本では全員誰もが匿名、とかみんなモバイル、と言い切ることはできない。何が多数か、という見方はできるけれど、そうでない例外に案外大事な特徴とか意味を見つけられるのではないか、と思った。