ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

RSA Conference JAPAN2010で講演

RSA Conference JAPAN2010で講演の機会をいただいてきた。

9月9日(木)
セキュリティの政策と制度 トラック
ソーシャルメディアの名乗り・ID・実空間情報」

われわれが「匿名」と言っているものは、誰の視点によるものか。ユーザ同士で互いに実名が分からない、ということだけを以て「匿名」と思い込んでいないか。ソーシャルメディアの利用に際して、IDを取得し、ログインを経てサービスを使う経験はみなさんおありだと思うが、これ自体が、自分の行動を同一人物によるものとしてリンク可能にしている。

その上で、モバイルデバイスの利用によって、投稿時刻、ジオタグ、さらには投稿「していない」ことも情報になりうることを指摘した。これには二つの側面があって、「今豪雨がきた!」「ゆれた!」という情報を集積することとから価値が生まれるという面と、ブログを数日更新しないだけで「風邪でもひいた?」と "absence"という情報を与えてしまうという面がある。やや慎重な話をご提供した感はあるが、デジタル情報が揮発しないことを考えると、こうした構造を冷静に理解する必要はあると思う。