ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

一日輪読するという贅沢:教育ゼミ

20日の日曜日。東京工業大学の吉川研究室が主催されている、教育ゼミに参加した。昨年の夏から参加させていただいていたが、週末に開催されるゼミに参加するのは、ビジネススクールに勤務していたころ(土日が主な出勤日)は難しく、一年近くのブランクを経て、先月から復帰した。

教育ゼミのページ
http://www.trn.dis.titech.ac.jp/~yoshi_lab/jp/education/index.html

ゼミは10時から17時まで。章の解説を担当する人は、スライドを作成して臨む。通り一遍の解説だけでなく、深い突っ込みや関連する概念、今までに読んだ本とのつながりやその違いなど、次々と脱線(?)しつつ議論と読解を進めていくという、楽しくて仕方ない集まりだ。一度参加する度に、さらに読みたい/読まねばと思う本が増えていく、不思議な時間でもある。

さて、今回読んだのはこの本。

疑似科学と科学の哲学

疑似科学と科学の哲学

占星術について「それは偽物だ」と言うだけなら簡単だ。この本は、そうした意味で、読みづらい。では、天文学占星術の関係を見ていくとどうだろう。何かを明らかにすることと、それを人間や社会にデプロイしていくこと(いや、むしろインプリケーションかもしれない)は、必ずしも同じことではない。何を以て科学というか。手法や作法の問題と言うならば、一件綿密に組み立てられた疑似科学は、科学と区別できるだろうか?反証可能性だけで、科学と疑似科学に線を引けるだろうか?進化論についてはどうだろう?

反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書

反・進化論講座―空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書

M2のTさんの解説を聞きながら、議論はあっちへこっちへ。途中こんな本を見つけて、その場で注文した。

ちなみに、私の頭にずっとあったのは、実はこの本。

共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人

共感覚者の驚くべき日常―形を味わう人、色を聴く人

共感覚もかつてはトンデモ科学と思われていたし、fMRIをはじめとする測定技術の進歩が、この現象の観察を科学たらしめたとも言えるだろう。そう思うと、何が疑似科学で、何が科学かの線引きを拙速にすること自体が、科学的ではないのかもしれないと、私の中に課題が残った。