ペンギン日記(旧akoblog)

identityやprivacyに関心を持つ大学教員のブログ。20歳の頃から「ペンギンみたい」と言われるのでペンギン日記。

経営情報学会1日目:研究発表

経営情報学会2008年度秋季研究発表大会@東北大に参加。
仙台はぐっと気温が下がり、木枯らしが吹く中東北大学の川内キャンパスに向かった。

11:30〜12:00 G1-3
CGMにおいてユーザが志向する匿名性についての考察
折田明子(中央大学

ところが!3人の発表者がいるセッションで、私以外の2名が発表キャンセル。座長の先生と最初にお目にかかった後、自分の発表まですっかり時間が空いてしまった。誰も来なかったら寂しいなぁと思いつつも、聴衆がたとえ一人でも手抜きすべきじゃないし、伝えたいことがあるからここに来たのだと思い出す。とは言ってもさすがに動揺して、mixiで諸先輩方の励ましを頂いてしまった。

さて、今回はユーザとCGMにおける匿名性の実証分析。この予稿を出す直前にデータが取れ、大急ぎでまとめたものだ。「日本のユーザって匿名だよね」と言われるけれど実態はどうなのかというのが研究の動機。科研費研究の一環で、昨年実施した構造的な整理に実証分析のデータを併せて考察した。

質疑では、早稲田大学の根来先生から、少なくとも5回は質問をいただいた。CGMの構造はそれぞれ違うのでひとまとめに分析するべきではないのでは?ユーザに「重視する」項目を問うているが、これは「信頼」のための情報を問うているということなのか?など。前半はそのとおりだと思うし、実際に個別の分析は進めているが、後半は難しい。質問項目はもう少し練るべきだっただろう。
一方で、本人到達性とリンク可能性については、ご質問と私では見方が違うと感じられた。根来先生はmixi価格.comでの評価情報に対する信用の違いを、本人到達性と相互評価に求めておられるが、私は投稿履歴のリンク可能性と、その一覧性(というか、観察可能性?)だと思った。もちろん、データを見ないとなんともいえないけれど。

ということで、この集中砲火状態は、集中指導状態でもあり、検証手法についてのご指導をいただいたと同時に、自分の観点がどこにあるのかを認識するための貴重な機会だった。ジャーナル投稿を目指してまとめなおそう。

座長の明治大学、村田潔先生からもセッション後にあたたかなコメントをいただいた。この研究のゴールについて、実はうまく答えられなかったのだが、フォローをしていただいた。博論の頃の方が、ゴールについては強い思いがあったように思う。これは反省点。